【立ち退き】【自費でリフォーム済物件】【ペット可】【立退料】代替住居のあっせんのみで、立退料を提示しない管理会社からの立ち退き要求に対し、500万円の立退料を獲得して、立ち退きに合意した事例

1.相談者様の性別、年代、ご要望等

  • 80代男性
  • 自宅
  • 立ち退き要求を受けた
  • 賃貸借契約期間は3年ほど残っている
  • 立退料の相手提示は当初0円(代替住居のあっせんと引っ越し費用等の補填のみ)
  • ペット(猫)可の賃貸物件希望
  • 12年前に浴室のリフォーム工事をした
  • 家賃月額:立退前4万円→希望移転先10万円
  • 即決和解申し立てにより和解

2.ご相談内容

相談者様は、生まれてから80年以上この賃貸物件に住んでおり、現在は妻・猫と共に老後の生活を送っております。この物件は、いわゆる「長屋」と呼ばれる集合住宅です。古い家ではありますが、近所には長年の知り合いもたくさんおり、相談者様は穏やかに暮らしていました。

物件の大家とは父の代からの付き合いで、5年毎に契約更新を行っておりましたが、本年になり、オーナー(賃貸人)が不動産管理会社に代わることとなりました。

そして、ある日、その不動産管理会社より「退去のお願い」と題する書類が届きました。書類には、次のようなことが書かれていました。

建物の老朽化のため、長屋は解体予定である。
・本年中に賃貸借契約を終了し、退去してほしい。
・現状回復の修繕費用は免除する。
・退去までの賃料は免除する。
・不動産会社が代替物件のあっせんを行う。
退去補償金(引っ越し、入居費用)は負担する。

つまり、代わりの家を案内するので、この長年住んでいる家から出て行って欲しい、との要求でした。
相談者様と妻は突然の立ち退き要求に驚き、動揺しました。長屋の他の住民に尋ねてみたところ、「雨漏りするほど古い家だし、新しい家をあっせんしてくれて、引っ越し費用も出してくれるなら……」とみな、立ち退きに応じるようでした。
相談者様も、建物の老朽化については認識していたため、不動産管理会社の案内に対し、「退去することについて合意し、退去に向けて協議する」との返答をしました。

相談者様は、この場所で生まれ、妻との結婚後も住み続けました。自身が高齢になるにあたり、終の棲家とすることに決め、12年前、当時の賃貸人の許可を得て、耐震補強やバリアフリー化など内装のリフォームを行いました。

また、不動産管理会社があっせんしてきた安価な物件は、近所ではありますが、ペット不可で、愛猫とともに引っ越すことができません
相談者様が改めて調べたところ、近隣でペット可の賃貸物件となると、家賃は最低でも月額10万円程度となり、現在の物件の家賃(月額4万円)と比べると、2倍以上になってしまいます。
相談者様は年金暮らしであり、これからもずっと現在の物件で暮らしていくつもりでしたので、立ち退きに応じることに対し、経済的な不安を感じました。
また、相談者様自身が高齢であるため、生活環境を大幅に変えて生活することも難しいと感じました。

このような経緯があり、相談者様としては、どうしたら良いのか困ってしまいました。
相手の不動産管理会社担当者は、頻繁に連絡を入れてきて、引っ越し時期について調整しようとしてきます。

ネットで検索してみたところ、このような建物の老朽化等の理由による立ち退き要求の場合、立退料」という補償金が、賃貸人より支払われることがあると知りました。

そこで、名古屋で立ち退き要求交渉に強い弁護士を探すこととし、当事務所のホームページからお問い合わせを頂き、無料相談(初回)にいらっしゃいました。

3.当事務所の立ち退き料の交渉内容とその結果

(1) 立ち退き料の算定と、担当弁護士より受任通知の送付

初回の法律相談の際には、相談者様に、下記の書類をお持ちいただき、担当弁護士にて精査を行いました。

・「退去のお願い」(退去に関し賃貸人が提示する条件の書類
賃貸借契約書・不動産管理会社(賃貸人)が提示する、移転先の物件資料
・相談者様が調べた、希望移転先の物件(ペット可)資料

後日ご用意いただいた書類

・浴室リフォームを行った際の領収書
・引っ越しの見積書

これらの資料を基に、まずは請求できる立退料の見積もりを、弁護士が行います。
物件の登記証明書固定資産税評価証明書が資料として必要な場合もありますが、当事務所には、不動産分野の専門スタッフが在籍しておりますので、事務所にて取り寄せすることも可能です。

立退料の見積もり及び弁護士費用をご案内させていただき、弁護士へ依頼することにメリットがあるかどうか、相談者様へご説明させていただきます調査にお時間をいただく場合、後日再度打ち合わせさせていただくか、見積もりのお手紙を送らせていただきます。

今回の相談者様の場合、立退料を請求できることが見込まれましたので、当事務所へ依頼することとなりました。
委任契約後、立ち退きの交渉を行っている不動産管理会社の担当者に対し、今後の交渉は三輪知雄法律事務所の担当弁護士が行うので、相談者様には直接連絡をしないよう書面を送りました。

(2) 立ち退き料の調査・算定

◆立ち退き要求に対するサポート

▼三輪知雄法律事務所の立ち退き要求に対するサポートや取扱事例については、以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください▼

退去・移転により発生する費用や必要な手続の調査

相談者様が損をしない適正な立退料を算定するため、三輪知雄法律事務所の担当弁護士及びスタッフは、相談時の資料や立ち退きに関する裁判例等をもとに、相談者様の移転経費やその他補償されるべき金額を調査しました。

相談者様に、引っ越し費用の見積もりだけはお願いしましたが、そのほかは、三輪知雄法律事務所の不動産分野の担当スタッフが、相談者様の手を煩わせることなく、費用等の調査・確認を行いました。

◆担当弁護士から相手方への提示した賃貸物件との家賃差額

まず、当方から相手方に対し、近隣でペット可の賃貸物件(家賃月額10万円)への移転を希望したうえ、各調査の結果及び判例調査をふまえ、立退料として550万円を請求しました。

立退料の内訳項目は以下のとおりです。

移転経費

家賃差額
・敷金及び礼金
・仲介手数料
・引越費用

移転により失われる利益に対する補償費用

・リフォーム関係の費用
・相談者様及び妻の精神的苦痛に対する補償

家賃差額補償費用については、次の項目で詳しくご説明します。

◆家賃差額について

相談者様は、従前の賃貸借契約に基づき、少なくとも残り3年は、現在の物件に居住する権利を有していました

しかし、現在の物件(家賃月額4万円)と移転先の物件(家賃月額10万円)とでは、月額6万円もの差額(1年で72万円もの差額)があり、立ち退きにより、相談者様が負担を強いられることとなります。

よって、賃料の差額である月額6万円×3年間の家賃差額について、賃貸人より相談者様へ支払われるべきである、と不動産管理会社へ主張しました。

また、ペット可である物件は数が限られ、家賃が高額になる傾向があること、相談者様は高齢のため、移転先について現在の地域から大幅に変えることは困難であることなどを補足し、移転先として適切な代替物件であることを説明しました。

◆移転により失われる利益に対する補償費用

相談者様は、現在の物件を終の棲家とすることに決め、当時の賃貸人の許可を得て、耐震補強やバリアフリー化など内装のリフォームを、12年前に行いました
特に、浴室のリフォーム工事には、340万円ほどの費用が掛かっており、減価償却を考慮しても、12年経った今でも160万円以上の価値があることを主張しました。

また、相談者様と奥様は、長年慣れ親しんだ環境から移り住むことにより、精神的苦痛が生じていることから、慰謝料も含めて立ち退き料の算定を行いました。

(3) 相手方との交渉内容

相手方は、新しい物件を選んだのは自分たちであるため、家賃差額については認められないとか、相談者様ご夫婦の精神的苦痛に対する補償については認められないなど、強く反論してきました。

しかし、粘り強く、立退料の各項目や相談者様に生じる不利益(本来は内装の耐震工事により、浴室のリフォームの他に300万円の工事費が掛かっていた旨等)について主張し続けた結果、裁判所にて即決和解の手続きにより和解調書を作成すること、相手方の希望する退去日までに退去することを条件に、相談者様の原状回復義務の放棄、希望の物件(ペット可)への移転及び500万円の立退料を支払うということで合意することができました

(4) 即決和解(訴え提起前の和解)の対応

「即決和解」とは、裁判上の和解の一種です。民事上の争いのある当事者が、簡易裁判所に和解の申立てをし、紛争を解決する手続で、正確には「訴え提起前の和解」といいます。

和解調書を作成することにより、当事者間の合意は債務名義となり、相手がその和解内容に従わないときには、強制執行をすることができるようになります。

当事者の合意を債務名義化する方法として、公正証書を作成する方法もあります。
ただし、公正証書で債務名義化できる合意内容は、金銭債務の履行に関する合意に限られているため、物件からの立ち退きに関する合意について、即決和解の手続きを求められることがあります。

もちろん、担当弁護士が申立を行い、裁判所への出頭や和解条項案作成など各手続きを代理で行うため、相談者様にしていただくことは何もありません

申立を行った際は、新型コロナウイルス感染症「緊急事態宣言」が出された後であり、どの裁判所もなかなか期日が入らない時期でしたが、担当弁護士より何度も裁判所へ対応を要請することで、それほど時間を取られることなく、和解を成立させることができました。

(5) 即決和解後の退去

即決和解後、立退料の入金管理についても、事務所にて行わせていただき、相手方より確実に立退料を回収いたしました。
また、退去日には、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が立ち会い、相談者様は相手方と顔を合わせることなく、事件は終了となりました。

4.解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決までに要した期間と弁護士費用

  • ご相談から合意成立までの期間:約7ヶ月程度
  • 三輪知雄法律事務所の弁護士費用
    ・ 着手金:20万円
    ・ 報酬:80万円程度(経済的利益の16%)

※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

5.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

弁護士 平松達基 写真


三輪知雄法律事務所 
担当弁護士:平松 達基

出身地:名古屋市。出身大学:名古屋大学法科大学院。主な取扱い分野は、立退問題、相続、不動産問題、企業法務、クレーム対応など。

今回のように、大家の世代交代や不動産会社への物件譲渡をきっかけに、賃貸人から立ち退き要求をされた、とのご相談を近時多く頂きます。

立退料については、正当事由(立ち退きを求める理由や借家の従前の経過、建物の利用状況・現状)の有無によっても状況が変わってくるため、提示された金額が適切であるか、慎重に検討する必要があります。

本件のように、相談者様の生活実態に即さない安い物件を代替物件として提案されたり、家賃差額や補償について具体的な提示のないまま、退去の合意を案内されるケースもありますので、合意書にサインする前に、まずは一度、当事務所の法律相談(初回無料)にいらっしゃってください。

6.立ち退き料の請求に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「立ち退き料の請求の対応に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、下記の画像をクリック頂き、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

立ち退き、不動産トラブルは名古屋・金山の三輪知雄法律事務所

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。