【立ち退き】【借地】【高齢者】地主からの立ち退き要求に強いストレスを感じていた高齢者のご相談。当初提示の4倍(1200万円)の立退料、賃料免除及び残置物放棄を獲得し、解決に至った事例

1.相談者様の性別、年代、ご要望等

  • 相談者様:80代女性(借地人)
  • 相談者様:50代男性(借地人の息子)
  • 持ち家/一戸建て/借地
  • 地代を毎月支払っている
  • 相手方:不動産業者(地主)
  • 住み続けたいが、立退料も知っておきたい
  • 相手方とのやりとりに強いストレスを感じていた

2.三輪知雄法律事務所へのご相談内容、相手方とのやりとりがストレスに

借地人である相談者様は、5年程前に旦那様を亡くされ、お一人で生活をされておりました。

ある日、前の地主から、自宅が建っている土地の地主が、開発系の不動産業者(ディベロッパー)に変わったと聞かされました。
それから1週間もたたないうちに、その不動産業者の担当者が相談者様の自宅に来訪し、土地の再開発に伴い、土地を前地主から譲り受けたこと、今後、周辺を再開発していく予定であること、今後自宅のリフォームについては、相手方は一切承諾しないと宣言され、それが困るのであれば他へ移ったほうがいいという説明を受けました。

相談者様と相手方との従前のやり取りの中で、立退料として300万円は支払うといった話があったそうです。

相談者様は、50年以上この場所に住んでおり、大変思い入れがあるうえ、今さら新しい場所で生活するには不安であり、できることであれば住み続けたいと希望されておりました。
また、相談者様は、高齢であることから相手方との交渉が精神的にもかなりストレスを感じていたということもあり、相談者様のご長男が一人暮らしの相談者様を心配されて、三輪知雄法律事務所のホームページをご覧になり、無料相談(初回)にいらっしゃいました。

3.三輪知雄法律事務所の立ち退き料の交渉内容とその結果

(1)【直ちに】担当弁護士より受任通知→相談者様は【精神的ストレスから解放】

相談者様は、初回の法律相談の際には、立ち退きをせずに住み続けたいとのご意向をお持ちでした。

しかし、相談者様の自宅周辺において、相手方の再開発工事が始まり、今までの平穏な生活環境が害される可能性があったこと、また、隣人も相手方の立ち退き請求を受け、退去していたことから、きちんとした補償が得られるのであれば、新たな場所で生活を始めた方がいいと考えるようになりました。

一般的に、その土地を使用する事由(借地を再開発してより高額な賃料を得たい等)があるとして地主側から立ち退き請求をする場合は、地主自身が自宅として利用したいという例外的な場合以外は、原則、借地人に対する金銭的補償(立退料)の支払が必要になると考えられます。

相談者様の場合も、上記に該当すると考えられたため、当事務所へ依頼することとなりました。

受任後、直ちに、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、相談者様の自宅を訪問し、土地の状態や自宅の周辺状況などを直接、確認しました。

また、立ち退きの交渉を行っている不動産業者の担当者に対し、今後の交渉は三輪知雄法律事務所の担当弁護士が行うため、相談者様や相談者様のご家族には直接連絡をしないように求める書面(受任通知)を送付しました。

(2)立ち退き料の調査・算定

◆立ち退き要求に対するサポート

▼三輪知雄法律事務所の立ち退き要求に対するサポートや取扱事例については、以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください▼

◆退去・移転により発生する費用や必要な手続の調査

相談者様が損をしない適正な立退料を算定するため、三輪知雄法律事務所の担当弁護士及びスタッフが、相談時の資料や立ち退きに関する裁判例等をもとに、相談者様の移転経費やその他補償されるべき金額を調査しました。

立ち退き料については、下記を考慮した上で算定を行いました。

①立ち退きにより相談者様(借地人)が支払わなければならない移転費用の補償

移転費用の補償は、転居する際の引っ越し費用、転居先の敷金や転居先の賃料と現在の賃料との差額に対する補償も含まれます。

相談者様の自宅の土地について、立退き請求を受けた時点で、借地契約の期間が14年残っていました。
そのため、少なくとも今後14年間は、同程度の賃料(地代)で生活することができる利益を有しておりました。

  • 相談者様の自宅周辺で同等の間取りの一軒家を借りた場合の賃料
  • 現在の地代

上記の差額の借地契約の残存期間である14年分と初期費用及び引っ越し費用を加算し、700万円と算定しました。

②立ち退きにより相談者様(借地人)が事実上失うことになる利益の補償

相談者様は、前地主との間で借地を開始してから50年以上にわたり、同じ場所で生活を続けてこられました。
死別された旦那様と大切に手入れをしてきた建物であり、大変思い入れの強い土地でもあります。
立ち退きをすることにより、住み慣れた土地を離れるだけでなく、生活環境も大きく変化することになります。
もちろん相手方からの立ち退き請求がなければ、この先も変わらず住み続けるつもりでおられましたので、今回の立ち退きによって相談者様が被る不利益についても補償される必要があります。

生活環境の変化から心身ともに多大なるストレスを被ることが想定されますので、補償の金額を200万円程度と算定しました。

③立ち退きにより消滅する相談者様(借地人)の権利の補償

・借地権

一般的に借地権価格は、土地の更地価格の60~70%とされています。
しかし、今回の事例のように土地の再開発を行い、再開発後の土地を利用して利益を得ようとする事業者が借地権を取得する場合、相談者様(借地権者)は、立ち退きにより再開発に協力する形となるため、通常の相場よりも高い金額による借地権の買取が想定されます。

上述を考慮し、借地権価格を土地の更地価格の80%として、800万円程度と算定しました。

借地権とは

建物を建てるために地代を払って他人から土地を借りる権利のこと

借地権価格とは

土地を借りて建物を建てている場合の借地権の評価額のこと

・自宅の所有権

相談者様(借地人)には、建物買取請求権が認められているため、建物の所有権の価額を補償される必要があります。

相談者様の自宅周辺で売り出されている一軒家の価格より1㎡あたりの金額を算出し、相談者様の自宅の価額を算定しました。
また、2年程前に総額200万円の費用をかけてリフォームを実施したという事情があり、その点を考慮して、自宅の所有権価額を算定しました。

(3)相手方との交渉内容

3.(2)のとおり、立退料として①~③等を合計した2000万円を相手方に請求しました。

相手方からは、当初の提示である300万円と金額がかけ離れており、相談者様の自宅周辺に住んでいた他の住人が、今回提示した金額(2000万円)よりも低額で立ち退きに応じていることから到底応じることができない旨の回答がありました。

しかし、相談者様が立ち退きをすることで発生する精神的なストレス経済的な不利益について粘り強く主張し続けた結果、相手方の希望する明け渡し日までに明け渡すことを条件に、最終的には、1200万円の立退料を支払うということで合意することができ、合意書の作成をしました。

担当弁護士の主張により、合意書には、引っ越しまでの賃料免除、及び、自宅内の残置物の処理についても、処分費用等は相手方にて負担する約定を盛り込み、相談者様の負担を少しでも減らす内容の合意を成立させました。

明け渡し日には、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が立ち会い、相手方からの立退料の支払いを以て、事件は終結いたしました。

4.解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決までに要した期間と弁護士費用

●ご相談から合意成立までの期間:約8ヶ月程度

●三輪知雄法律事務所の弁護士費用

 ・ 着手金:20万円
 ・ 報酬:経済的利益(獲得した立退料と提示額の差額)の20%

※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

5.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

弁護士 三輪知雄 写真

三輪知雄法律事務所 
担当弁護士:三輪 知雄

出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。主な取扱い分野は、立ち退き等不動産事件、企業法務、相続事件。

今回の事例のように、土地の再開発に伴い、立ち退きを請求されたといったご相談を多くいただきます。

地主から、提示された立退料でこれが上限だと言われたとか、周辺住人が早期に立ち退いているからといって、無理に提示された金額で合意をする必要はありません。

立退料については、正当事由(立ち退きを求める理由や土地の利用状況・現状)の有無によっても状況が変わってくるため、提示された金額が適切であるか、立ち退きによって発生する移転費用や家賃差額などがきちんと補償されているか、慎重に検討する必要があります。

突然、地主より立ち退きを請求されたら、まずは一度、当事務所の法律相談(初回無料)をご利用ください。

6.三輪知雄法律事務所の立退料請求の対応に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「立退料請求の対応に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。