【建物明け渡し】【更新拒絶】【マンション】賃貸しているマンションの一室を、更新拒絶通知により賃貸借契約の更新をせず、建物の明け渡しをさせることに成功した事例

1 相談者様の性別、年代、ご要望等

  • 70代男性(賃貸人)
  • マンションの一室を所有
  • 相手方は会社(賃借人)
  • 社宅として使用
  • 妻の病気のため、早急な対応を希望
  • 建物明け渡し請求
  • 合意書作成

2 ご相談内容

相談者様夫婦は、名古屋市内にお住まいです。
横浜市内にあるマンションの一室を所有しており、そのマンションには10年ほど住んでいたことがあります。

現在、マンションは、普通建物賃貸借契約でとある会社に賃貸しており、社員の社宅として使用されているとのことです。

昨年、相談者様の妻は、病気を患い、要介護1の認定を受けました夫が介護を行っていましたが、自らの年齢もあり、肉体的・精神的負担を強く感じるようになりました

夫婦には子どもがおり、現在は仕事のため、横浜市内に在住しています。
今後、夫だけで介護を続けていくことは難しく、子にも介護を手伝ってもらう必要があります
また、妻の病気には精神的な原因もあるため、可能な限り環境の変化が少ない、住み慣れた場所へ引っ越したいと考えました。

そこで、現在賃貸に出している、横浜のマンションの賃貸借契約を終了し、夫婦で移り住むことを希望するようになりました。

相談者様は、当初、ご自分で交渉を始めましたが、賃借人(会社)からは、「現在の入居者(社員)は6年以上そのマンションに住んでおり、生活基盤が出来上がっているため退去は応じかねる」との返答がきました。

相談者様にとって、交渉と介護の両立は難しく、次第にご自身が疲弊していきました。また、時間が経過するにつれ、妻の病状は悪化していくため、できるだけ早く横浜へ移り住む必要がありましたが、相手方担当者との話し合いは平行線で、埒が明かない状態です。

そこで、相談者様は建物明け渡し請求交渉に強い弁護士を探すこととしました。
相談者様は三輪知雄法律事務所のホームページをご覧になってお問い合わせを頂き、無料相談(初回)にいらっしゃいました。

3 三輪知雄法律事務所に建物明け渡し請求を依頼、交渉内容とその結果

(1)受任後、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、交渉の窓口に立った

委任契約後、賃貸人の担当者に対し、三輪知雄法律事務所の担当弁護士より、「更新拒絶通知書」を内容証明郵便で発送しました。まず、通知書の発送により、窓口は弁護士となり、相談者様には直接連絡が行かないようになります。

(2)建物明け渡し請求の交渉

◆更新拒絶通知書の内容

三輪知雄法律事務所の担当弁護士は、相談時の資料や建物明け渡し請求に関する裁判例等をもとに、更新拒絶通知書を作成しました。
通知書の内容は下記のとおりです。

普通建物賃貸借契約を契約期間の満了日で終了し、更新しないこと
・現在の入居者に物件の買取希望がない限り、退去してもらうしかないこと
・いわゆるオーナーチェンジは、売却価格が大幅に下がるため、不可能であること
・貸主(相談者様)には、正当事由(妻の介護のため、子の住居の近くに住む必要がある)があること

◆普通建物賃貸借契約とは

普通建物賃貸借契約とは、建物を賃貸して住居とするために「賃借人(借主)と賃借人(貸主)」で取り交わす契約のことです。

普通建物賃貸借契約でポイントとなってくるのは、以下の2点です。

貸主からの解約の申し入れは、契約期間の満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知をしなければならない
貸主からの解約の申し入れは、「正当事由」がある場合のみで、正当な事由がない限り契約は更新される

◆普通建物賃貸借契約における契約の終了

例えば、2年間の普通建物賃貸借契約で、借主が、契約の更新をしたくないと考えた場合、借主の申し入れにより、契約期間の満了をもって、賃貸借契約を終了することができます

一方、貸主が、契約を更新したくないと考えた場合、すなわち契約期間が満了したら借主に出て行ってもらいたい場合は、あらかじめ借主に対して、更新拒絶の通知をする必要があります
この更新拒絶の通知は、契約期間の満了の1年前から6か月前までにしなければなりません
また、「正当事由」がなければ契約の更新を拒絶できず、貸主は借主に退去してもらうことができません

◆正当事由とは

借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)に定められるように、貸主が建物明け渡しの申入れをするには、正当事由が必要とされます。

①自己使用の必要性(建物使用の必要性)
貸主が、本件物件を自ら使用しなければならない事情です。
居住の必要性(老齢・病弱等の事情)や経済的困窮などの事情を主張することが考えられます。

②建物の賃貸借に関する従前の経過
契約期間、更新状況、従前の更新時に貸主と借主との間で退去に関する話し合いを行っていたか、敷金の支払いの有無、家賃滞納の有無などの事情です。
従前、退去に関する話が一切なされていなかった場合には,正当事由が否定される方向にはたらきますし、借主が家賃の滞納を繰り返しているなどの事情があれば、正当事由は肯定される方向にはたらきます

③建物の利用状況
借主がその建物をどのような状況で利用しているかなどの事情です。

④建物の現況
建物の老朽化により大規模な修繕あるいは建て替えが必要になっていることなどの事情です。

⑤財産上の給付の申し出(立退料)
貸主が借主に対し、立退料や代替物件(賃貸)を提供する等の財産上の給付を申し出た場合、正当事由の考慮要素となります。

(3)相手方との交渉内容

当事務所の担当弁護士より、更新拒絶通知書を発送したところ、借主は、弁護士を立て、「貸主の正当事由は認められない」とし、「周辺に同条件の物件がないため、入居者の子が小学校を卒業するまで、住居環境を変えることはできない」と反論してきました

しかしながら、三輪知雄法律事務所不動産分野スタッフが周辺を調査したところ、代替物件となる物件が複数あることが判明したため、相手方弁護士へ提示し、また、相談者様の本件建物利用の必要性を再度主張しました。

相手方弁護士は、それでも応じられない、と反論してきましたが、担当弁護士は定期的に進捗の確認や、代替物件の提案を行いました。

(4)明け渡し条件の交渉

担当弁護士の粘り強いはたらきかけにより、翌月には、相手方弁護士より、①立退料200万円、②原状回復の免除(敷金全額の返還)、③立ち退き前に代替物件の契約期間が開始した場合、重複する期間について、本物件の賃料免除という条件で、代替物件が見つかり次第、退去することに合意するとの案を引き出させることができました

立退料については、過去の裁判例や相場等を再調査し、交渉により100万円に引き下げ、合意を得ることができました

原状回復の免除については、従前、相談者様が、入居者から物件の壁に発生したシミについて相談を受けていたたものの、その後入居者や借主(会社)から何の報告も受けていないという経緯があり、修繕工事の必要があるか分かりかねるため、応じられないと返答し、了承させることができました

また、物件の明け渡しには期限を設け、代替物件が見つからなかった場合でも、少なくとも合意から1年以内には退去することに合意してもらいました

(5)合意書の作成及び合意成立

当事務所の担当弁護士にて、合意書案を作成し、相談者様にも確認いただきました。

合意書の取り交わし前に、入居者の代替物件が見つかったため、退去日の設定はもちろん、退去月の賃料及び管理費の免除の項目についても、相談者様に損のないよう、詳細に取り決めをし、合意書に追記したうえで、合意に至りました

4 解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決までに要した期間と弁護士費用

  • ご相談から合意成立までの期間:約7ヶ月程度
  • 三輪知雄法律事務所の弁護士費用
    ・ 着手金:20万円
    ・ 報酬:30万円程度(個別のお見積もりとなります)

※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

5 三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

弁護士 平松達基 写真


三輪知雄法律事務所 
担当弁護士:平松 達基

出身地:名古屋市。出身大学:名古屋大学法科大学院。主な取扱い分野は、相続、不動産問題、企業法務、離婚問題、クレーム対応など。

普通建物賃貸借契約(普通借家契約)は、借主保護の観点から借主(テナント)が有利な契約となっています。

自己使用の必要性(建物使用の必要性)は、正当事由の判断要素の中で、最も比重が大きいものです。
しかしながら、正当事由を具備していると考えられる事案であっても、裁判を起こさず、借主との交渉の中で、早期に建物明け渡しを実現するためには、貸主は立退料の支払いをせざるを得ません

最低限の立退料で早期解決を目指す場合、更新拒絶の通知や借主との交渉について、弁護士などの専門家と相談の上、方針を決めるのがよいと考えます。

6 三輪知雄法律事務所の建物明け渡し請求の交渉に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「建物明け渡し請求の交渉に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。