【立ち退き】【店舗兼自宅】【飲食店】老朽化を理由とした大家からの立ち退き請求に対し、提示された立退料の6倍(600万円)の立退料を獲得して、立ち退きに合意した事例

1.相談者様の性別、年代、ご要望等

  • 40代男性
  • 住居兼自宅
  • 飲食店
  • 立ち退き要求を受けた
  • 合意書作成

2.ご相談内容

相談者様は、20年間、店舗兼自宅として、2階建の物件を借り、飲食店を経営されてきました。

ある日、大家から委託を受けた不動産業者がやってきて、相談者様が借りている建物は老朽化により解体することになったので、1ヶ月以内に建物から退去すること、立ち退き料は100万円が限度であることの説明を受けました。

相談者様は、この場所で20年間、たくさんの常連客や地域の人から支えられて店を続けてきましたので、他の場所に店舗を移転した場合、常連客が離れてしまうかもしれないし、新規物件を内装から工事すると相当の費用がかかります。
そして、新たな場所で一から集客をするとなると、店が軌道に乗るまでまた赤字になってしまうのではという不安がありました。

しかも、現在の店舗は、5年程前に約150万円をかけて内装工事をしたばかりでした。

移転するとなると、引越費用は当然、そのほかに新たな店舗での内装・設備工事の費用や、今の売上水準まで到達するためには、集客用のチラシ作成などの広告宣伝費が発生しますし、生計を立てるためには、移転による休業期間中の営業補償も不可欠です。

さらに、近隣での店舗用物件の家賃を調べてみたところ、現在の物件の家賃との差額が、月5万円程度は発生することが分かりました。

立退料100万円は、相談者様の退去に伴う損失には到底見合わないものでした。

相談者様は、立ち退きに納得していないにも関わらず、不動産業者から渡された「退去に関する承諾書」によく分からないまま署名をさせられてしまったとのことで悩まれ、三輪知雄法律事務所のホームページをご覧になってお問い合わせを頂き無料相談(初回)にいらっしゃいました。

3.三輪知雄法律事務所に立ち退き料請求を依頼、交渉内容とその結果

(1)受任後、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、現地調査を行った

相談者様は、初回の法律相談の際には、退去に関して迷われているご意向もお持ちでしたが、三輪知雄法律事務所の担当弁護士の話を聞き、「退去に関する承諾書」にサインをしてしまったこともあり、きちんとした補償が得られるならば、新たな場所でお店を始めた方がいいと考えるようになりました。

受任後、直ちに、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、相談者様の店舗兼自宅を訪問し、物件の状態、相談者様の営業と居住の状況確認これまでに相談者様が物件に費用をかけた内装や備品等の状況、近隣の状況、移転の際に搬出が予想される備品や家具の数などを確認しました。

また、立ち退きの交渉を行っている不動産業者の担当者に対し、今後の交渉は三輪知雄法律事務所の担当弁護士が行うので、相談者様には直接連絡をしないよう書面を送りました。

(2)妥当な立ち退き料の算定!

立ち退き料とは

立ち退き料とは、法律的な用語ではありませんが、一般的には、賃貸人の要請に応じて賃借人が賃借物件を明け渡す場合に、その代償として支払われる費用をいいます。

法律的には、賃貸借契約において、賃貸人が賃借人に賃貸借契約の更新を拒絶する際に「正当事由」が必要となりますが、この正当事由の判断は厳格になされます。

正当事由が不十分である場合には、この立ち退き料提供の申出が、正当事由を補完する一要素になるとされ、適切な立退料の提供により、正当事由が認められやすくなるという解釈がなされています。

退去・移転により発生する費用や必要な手続の調査

立ち退きに関してご相談を受けた場合、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、立ち退きに関する裁判例等を調査し、立ち退き料の算定に必要な項目を調査致します。

立退料の中身については、一般に、移転にかかる費用、借地権・借家権の対価、営業補償、必要費・有益費の償還、精神的な慰謝料などと言われていますが、

相談者様が損をしない適正な立ち退き料を算定するため、三輪知雄法律事務所の担当弁護士及びスタッフは、飲食店の移転にかかる費用や必要な手続について調査しました。

まず、住居の転居とは異なり、飲食店の移転には、様々な手続が必要となり、それに伴って費用も発生します。

例えば、飲食店を移転する場合、営業許可の取り直しが必要となります。

また、新規物件での内装工事費用や、相談者様が使用しているガスについての移設費用、その他引越費用、移転オープンの広告費用もかかります。

相談者様が本業で忙しい中、これらの費用の全てを調査することは非常に大変です。

相談者様に、内装工事業者の見積もりだけはお願いしましたが、そのほかの営業許可、ガス等の移設費用、引越、備品購入費用等については、三輪知雄法律事務所の不動産分野の担当スタッフが、役所に申請方法と要する費用の確認を行うなど、相談者様の手を煩わせることなく、費用等の調査・確認を行いました。

◆新しい賃貸物件との家賃差額

相談者様が移転先として決めた物件と、退去対象の物件の賃料には、月額5万円ほどの差額があり、2年間で120万円以上もの家賃差額が発生することが分かりました。

◆得意先損失補償

相談者様から確定申告書をお借りし、前年度の売上から、移転により見込まれる営業利益の損失を算定しました。

上記各調査の結果及び判例調査をふまえ、相手に対して提示する立退料の各項目は下記のとおりとしました。

  • 移転費用
  • 内装費用
  • 電気容量増設工事
  • 引越代
  • 家賃差額
  • ガス移設費用
  • 店舗移転案内用チラシの印刷代
  • 営業許可申請費用営業補償
  • 得意先喪失補償慰謝料
  • 住み慣れた土地を離れることによる精神的な慰謝料

(3)相手方との交渉内容

以上をふまえ、当方からは立退料として700万円を提示しました。
その際、当方からは以下の点を特に主張しました。

  • 相談者様の生活は、飲食店の営業のみによって支えられていること。また、来店する常連客の他に、周辺地域への出前も行っており、移転によって顧客離れが生じ、被る不利益が大きいこと。
  • 退去対象の建物は、経年劣化は見られるものの、使用が不可能ではないこと。また、相談者様は、5年程前に150万円の内装工事を行ったばかりであること。
  • 近隣で、住居と飲食店を兼ねて使用できる代替物件が数多くないこと、賃料も格段に上がること。
  • 約20年以上もの長きにわたり住み慣れた場所を離れることによる精神的な慰謝料

相手方からは、退去対象の建物が、耐震基準を満たしておらず、相談者様以外の入居者は既にいないことなどを挙げ、立ち退きには正当な理由があるとし、立退料の金額についても、得意先損失補償やチラシの印刷代、家賃差額などは認められないとしていました。

しかし、粘り強く、立退料の各項目や相談者様に生じる不利益について主張し続けた結果、相手方の希望する退去日までに退去することを条件に、相談者様の原状回復義務の放棄及び600万円の立退料を支払うということで合意することができ、合意書の作成をしました。

退去日には、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が立ち会い、相手方からの立退料の支払いを以て、事件は終結いたしました。

4.解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決までに要した期間と弁護士費用

  • ご相談から合意成立までの期間:約5ヶ月程度
  • 三輪知雄法律事務所の弁護士費用
    ・ 着手金:20万円
    ・ 報酬:100万円程度(経済的利益の20%)

※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

5.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

三輪知雄法律事務所

担当弁護士:平松 達基

出身地:名古屋市。出身大学:名古屋大学法科大学院。主な取扱い分野は、相続、不動産問題、企業法務、離婚問題、クレーム対応など。

法律上、借主は手厚く保護されています。

貸主は、契約期間満了の6カ月~1年前から借主に契約を更新しない旨の通知を出す必要がありますし、正当な事由がなければ、賃貸借契約の解除は認められません。

今回の場合のように、「建物の老朽化」は契約解除の正当事由として主張されがちな理由ではありますが、だからといって、大家の提示する一方的な条件(立退料の金額や退去時期)をすぐに受け入れなくてはならないものではありません

大家側としては、あまりお金は払いたくないでしょうから、低い金額の立退料を提示してくることが多いでしょう。

しかし、借主にとっては、生計に関わることですから、弁護士などの専門家を交え、正当な立退料を算定し、納得した上で結論を出すことをお勧めします。

6.三輪知雄法律事務所の立退料請求の対応に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「立退料請求の対応に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。