【建物明け渡し】【賃料滞納】【借家】賃貸している貸家について、賃借人との賃貸借契約を解除し、建物の明け渡し及び滞納賃料・原状回復費用の一部回収に成功した事例

1.相談者様の性別、年代、ご要望等

  • 貸主/50代女性
  • 貸家(借家):長屋(平屋建て)、ゴミ屋敷状態
  • 借主/独居の高齢男性
  • 滞納されている賃料:80万円以上。原状回復費用、清掃費用含め、少しでも回収したい。
  • 建物明渡請求、相手方には退去をしてもらいたい

2.ご相談内容

相談者様は、何軒か借家を所有されておりました。
相談者様が所有されている借家は、相談者様の亡くなられたお父様より相続された不動産とのことです。

そのうちの1軒の入居者についてお困りとのことで、相談されたいとのことでした。

相談者様が賃貸している問題の長屋には、60代の男性が1人暮らしをされているとのことでしたが、玄関の扉が閉まらないほどゴミが溢れ、いわゆるゴミ屋敷となっているとのことで、相談を受けた警察や役所の担当者が相手方へ話をしても聞く耳を持たない様子で状況が改善されることはなかったそうです。

他の入居者や近隣住民から苦情が寄せられる心配もあり、とにかく相手方には退去してほしいというのが、相談者様のご要望でした。

また、相手方からの賃料の支払について、数年ほど前から支払いが滞っているとのことで、滞納賃料についても全額支払ってほしいとのご要望でした。

相手方は、認知症の疑いがあり、生活保護を受給しているとのことで、相手方に対する建物明け渡し賃料支払に関する請求は可能なのか、今後の相手方への対応について三輪知雄法律事務所にお電話にてお問い合わせがありました。

担当弁護士において、まずは相談者様からのお問い合わせのお電話で簡単に相談内容を伺い、その電話の中で相談者様の希望する日時で相談予約が取れたことから初回無料相談にいらっしゃいました。

3.法律相談後の経過

(1)初回無料相談

初回無料相談で経緯を詳しく伺い、相談者様の亡きお父様と相手方との間で取り交わした賃貸借契約書、不動産登記及び相手方からの賃料の支払状況がわかる通帳の写しを拝見しました。
担当弁護士からの本件の見通しと弁護士費用の説明を受け、一旦は委任をするか検討したいとのことで、初回相談は終了しました。
後日、相談者様より担当弁護士宛にお電話があり、三輪知雄法律事務所に委任されたいとのことでしたので、委任状及び委任契約書を取り交わしました。

今回のように委任するか否かについて、初回相談の場ですぐに決定しなければいけないことはありません。
じっくりご検討いただき、決定していただければ構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

(2)契約解除通知書の送付

委任状を取り交わしたため、今後は弁護士が窓口となり、相手方と交渉を行うことが可能となります。

まずは、相手方に対して送付する契約解除通知書を作成しました。
契約解除通知書を作成するにあたり、担当弁護士において、相手方の賃料未払状況を確認したところ、約2年以上の家賃相当額である80万円程度の金額が未払の状況であることが判明いたしました。

相手方へ送付した契約解除通知書には、下記の内容を記載しました。

  • 相談者様より依頼を受け、代理人として連絡していること
  • 今後の窓口は、相談者様ではなく全て弁護士となること
  • 賃貸借契約の内容(物件所在地、賃料など)
  • 相談者様のお父様が亡くなったため、現在は相談者様が借家の所有権を有していること
  • 相手方の賃料未払状況(期間、金額)
  • 契約解除通知書の送付をもって、相手方との賃貸借契約解除すること
  • 直ちに賃貸借の対象となっている借家を明け渡し、指定口座へ未払賃料を支払うこと
  • 明渡しに応じない場合は、法的手段による解決を図ること

相手方へは内容証明郵便にて契約解除通知書を送付するとともに、内容証明郵便が不達となった場合に備え、普通郵便でも送付しました。

(3)訴訟提起

相手方へ送付した契約解除通知書について、内容証明郵便は不在を理由に受領されることはありませんでした。
しかし、同時に送付した普通郵便は、発送した翌日に相手方住所への配達が完了いたしました。

契約解除通知書が相手方住所へ送達されてから、相手方は借家を明け渡さないうえに、賃料の支払や担当弁護士宛への連絡は一切ありませんでしたので、法的手段による解決を図るために、裁判所に対して、相手方に対する借家の明渡しと未払賃料の支払を求めた裁判を起こしました(訴訟提起)

訴訟提起に向けては、担当弁護士が賃貸借契約締結から訴訟提起時までの経緯や未払賃料額などをもう一度整理し、訴状、物件目録、その他必要となる書類を作成しました。

訴訟提起のために裁判所へ提出した訴状などの関係書類は、裁判所より相手方へ郵送されますが、こちらも不在で保管期間が経過したため、送達ができないと裁判所から連絡がありました。

裁判所より訴状不送達に関する連絡を受けたころ、「2.ご相談内容」で記載したとおり、相手方が住んでいる借家がゴミ屋敷のような状態になっていることが問題となっていたため、従来より相談者様と役所の担当者が連絡を取り合っていたこともあり、相手方が体調を崩し、入院しているとの情報を入手しました。
そこで、相手方の入院先への訴状送達を裁判所へ申し入れ、なんとか無事に相手方への訴状送達が完了しました。

(4)裁判期日~判決

最終的には、相手方にも代理人として弁護士がつき、裁判期日では、当方は、賃貸契約書や相手方からの支払状況が分かる資料を証拠として提出し、相手方の賃料の不払が続いていることを主張した結果、相手方は裁判期日において、賃料の支払いを怠っていることを認めました。

数回の裁判期日を経て、裁判所より、相手方は相談者様に対し、「本件の建物を明け渡せ」「未払となっている賃料全額及び遅延損害金を支払え」といった内容の判決が出されました。

(5)建物明け渡しと相手方からの賃料等の回収

上記(4)で裁判所より判決が出てから、相手方から不服申し立てがされませんでしたので、2週間で確定となりました。
判決が確定となって以降、確定した判決内容に従い、相手方の代理人に対し、滞納賃料及び賃料相当損害金の請求を行ったところ、全額とはいきませんでしたが相当額の回収に成功し、建物の明け渡しも完了したことから、本件は無事に解決となりました。

なお、相手方が生活保護受給者であったこと等から、室内の動産物の処理費用については、生活保護係にて費用を負担することとなりました。

4.解決までに要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用

三輪知雄法律事務所が解決までに要した期間と弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決までに要した期間と弁護士費用

●ご相談から解決までの期間:約1年程度

●三輪知雄法律事務所の弁護士費用
 ・着手金:33万円(消費税10%込)
 ・報酬金:33万円(同)
 ・滞納賃料及び原状回復費用の回収:回収金額の17.6%(同)

※実費、日当等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

5.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

三輪知雄法律事務所

担当弁護士:平松 達基

出身地:名古屋市。出身大学:名古屋大学法科大学院。主な取扱い分野は、不動産問題、相続、企業法務、離婚問題、クレーム対応など。

借家を所有している大家さんから、賃料の滞納についてや問題のある借主に対して退去をしてほしいが、どう対応をすれば良いかといったご相談を多く受けます。

こういった問題は、不動産会社のような仲介業者を介しておらず、普段から借主の方と直接やり取りをされている大家さんにとっては、頭の痛い問題かと思います。
借主ときちんと話ができる場合は良いですが、本件のように物件がゴミ屋敷化していたり、借主が会話を拒絶したりしている場合に、直接の交渉を行うとトラブルに発展しかねませんので、ご自身で交渉せず、まずは専門家にご相談ください。

本事案の相談者様のように、所有されている借家について、「賃料滞納が続いており、全く支払いがされない」や「問題の住人に退去をしてほしい」などお困りのことがあれば、お気軽に三輪知雄法律事務所の法律相談(初回無料)をご利用ください。

6.三輪知雄法律事務所の建物明け渡し請求の交渉に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「建物明け渡し請求の交渉に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法令をもとに執筆しています。