【親族間の使用貸借】【売買代金の配分争い】【不動産売却も代理人で対応】使用貸借中の土地、建物の売却及び売却後の双方の受領額をめぐって、土地所有者と建物所有者の間でトラブルになったが、弁護士介入後、受領額を大幅に引き上げ、売却に合意した事例

1.相談者様の性別、年代、ご要望等

  • 相談者様:70代男性。関西地方在住。
  • 相手方:相談者の妻の弟(義弟)であり、本件土地の名義人。
  • 相手方所有の土地上に相談者名義の戸建てを建てて住んでいる。
  • 今後のトラブルを解決するためにも自宅の売却は致し方ないが、家族で暮らすために十分な金額を受け取りたい。

2.ご相談内容

相談者様は、元々別の場所で生活していましたが、相手方(妻の弟)が妻の両親が住んでいた場所の近くに土地を購入したものの、両親との折り合いが悪くなったため、別のところで暮らすことになり、両親の面倒を見なくなったため、相談者様が本件の土地で自分名義の戸建て(以下、「本件建物」といいます。)を建てて、以来、妻、娘、孫の4人家族で生活をされています。
相手方は、相談者様に対し、本件土地について、ずっと以前からゆくゆくは相談者様に贈与するとか、遺言を残すというような手紙や話をしており、名義としては相手方のまま使用貸借中でしたが、相談者様や家族としては、長い間、相手方より譲り受けた土地と認識していました。

相手方から相談者様への贈与の話が正式に進みはじめ、司法書士を介して名義変更の手続を進めていたころ、突然、相手方から「土地を売ることにした。家を建てたときの資金は返すから出て行ってくれ。」と申し出があり、しばらくすると相手方の代理人だという弁護士から相談者様のもとに書面が届いたとのことです。

相談者様はあまりにも突然のことに大変困惑されており、相談者様と相手方代理人の従前の交渉では、売買代金のうち、建物相当額として一定の金額を渡す前提で、不動産売買の媒介業者との契約も進められていたとのことでした。
しかし、その金額では、家族4人で暮らすために新たにマンション等を購入するには足りませんし、そもそも、土地について贈与を受けていたと認識している相談者様としては応じられるものではありませんでした。

30年間暮らしてきた家を手放すことになったとしても、これからも家族4人での変わらない生活を希望されており、そのためには今後どうすれば良いのか、地元の弁護士に相談したのですが受任を断られ、インターネットで親族間の使用貸借をめぐるトラブルや不動産問題に対応実績がある弁護士について検索をしていたところ、三輪知雄法律事務所のホームページを発見され、お電話でお問い合わせいただきました。

3.初回無料相談

相談者様が関西地方という当事務所から遠方にお住まいということで、すぐにご来所いただく都合が付かないというご事情もあり、初回相談はご来所いただくことなく、オンラインによる面談を実施しました。(なお、三輪知雄法律事務所の初回相談は、基本的にご来所いただくことを前提としています。)

初回相談では、相手方から相談者様が事実上、本件土地を譲り受けることとなった経緯、相手方代理人が就任してからの経緯、相談者様のご意向を詳しく伺いました。

オンラインによる面談が終了すると、ぜひ三輪知雄法律事務所に委任されたいとのお話でしたので、改めて委任に向けた手続を行いました。

4.法律相談後の経過

(1)受任通知の送付

正式に委任を受け、着手金を頂いたことにより、弁護士が窓口となり、相手方へ交渉をすることが可能となりますので、相手方代理人宛に、今後は相談者様ではなく担当弁護士宛に連絡をもらえるよう記載した受任通知を送付しました。

(2)交渉

本件土地及び建物については、既に購入希望者がおり、一定の希望額での購入の話が順調に進行中であったため、高齢の相談者様が、不動産仲介業者と頻繁に発生する条件調整等のやり取りをしながら、相手方弁護士と売買代金の配分について交渉を続けることには無理がありました。

そこで、相手方弁護士との交渉に加えて、仲介業者とのやり取りについても、担当弁護士において行うこととし、相手方弁護士に対して電話及び書面による交渉を複数回にわたって売買代金の配分額の引き上げ交渉を行い、仲介業者との間では、契約日、明渡日の調整、残置物の確認や売買契約書の条項確認などを行いました。

しかし、相談者様と相手方との間で売買代金の取得割合についての争いはすぐには解決せず、担当弁護士としては、売買契約締結は難しいと考え、契約の延期等を視野に入れた粘り強い交渉をしていましたが、諦めず交渉を続けたところ、双方が早期解決を希望していたこともあり、以下のとおり合意が成立しました。

(3)合意書作成

本件においては、最終的に売買代金から仲介手数料及び登記費用を控除した残額の2分の1ずつを双方が取得する内容で合意が成立しました。この時点で、買主との契約締結日まで日がありませんでしたので、合意書の取り交わしまでは非常にスピードを求められることとなり、合意書の取り交わしを最優先事項として対応を行いました。

合意書の文案については、担当弁護士において、相手方との紛争の終局的な解決、蒸し返しのない一回的な解決を意識して作成し、買主との売買契約締結前に相手方との取り交わしを完了させました

また、買主との売買契約の締結についても、打ち合わせた日時に、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が現地の不動産仲介業者まで出向き、相談者様の代理人として不動産の売買契約書に署名押印を行いました。

(4)売買契約締結・代金決済も担当弁護士が対応しました

上記のとおり、担当弁護士が売買契約書への署名押印を行い、後日、銀行にて執り行われた買主からの売買代金の決済についても、担当弁護士が立ち会いました。

本件のような中古不動産の売買においては、売買代金の確定や配分も重要ですが、エアコン、お仏壇等の処遇、残置物の処理を決めたり、建物や設備の保証の有無や明渡完了の確認、固定資産税の精算、鍵の引き渡し等の対応を行う必要があります。そういった内容についても、相談者様が相手方弁護士や仲介業者と対応する負担が生じないように、代理人弁護士において一つ一つ確認を取り、売買契約や買主との各合意事項の履行に支障がないように対応いたしました。

最終的には、相手方との合意書取り交わし及び売買契約の成立により、相談者様の取得金額は弁護士介入前と比較して約1000万円程度引き上げることに成功しました。最終の売買代金の決済、入金まで担当弁護士が確認を行い、本件は無事解決となりました。

5.解決までに要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用の目安

解決までに要した期間と弁護士費用

●ご相談から解決までの期間:約3ヶ月程度

●三輪知雄法律事務所の弁護士費用
 ・着手金:44万円(消費税10%込)
 ・報酬:経済的利益の11%+19万8000円(消費税10%込)

※実費、日当等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、個別の案件やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

6.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

三輪知雄法律事務所

担当弁護士:平松 達基

出身地:名古屋市。出身大学:名古屋大学法科大学院。主な取扱い分野は、不動産問題(使用貸借、立ち退き、明渡請求)、相続、企業法務、離婚問題、クレーム対応など。

今回の事例は、売買契約の締結にまでは至っていませんが、既に売買を前提に仲介業者に媒介を依頼していた不動産について、その不動産の売買代金の取得割合を巡って双方が代理人を立てて争った事案です。

相談者様のように、贈与を受けていると認識していた相手方の土地に自宅を建てて、長年、相手方が放棄した義理の両親の世話をし続けてきたところ、その土地の贈与手続中に、突然「土地を売ることにしたから出て行ってくれ。」と言われ、間もおかずに、相手方の代理人である弁護士から連絡が来たのでは驚いて当然のことかと思います。

このような親族間の使用貸借や不動産売買が絡んだトラブルは多くある一方で、弁護士に相談したのだが、使用貸借の話や親身になってくれなかったというご相談も多く寄せられています。よく分からないからといって、相手方の主張をそのまま受け入れてしまうのではなく、弁護士が交渉することで受領金額を引き上げることができる可能性は十分にありますので、まずはお気軽に三輪知雄法律事務所にご相談ください。

本件は、相談者様も不動産も関西地方にある案件でした。
このように愛知県外にお住まいの方で実際に事務所にご来所いただけない場合でも、オンラインでの打ち合わせを交えながら相談や交渉を進め、解決に近づけていくことも十分可能かと思いますので、お困りの方は、ぜひ一度、当事務所の法律相談をご利用ください。

7.三輪知雄法律事務所の不動産に関する使用貸借のトラブル・交渉に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「不動産に関する使用貸借のトラブル・交渉に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。
※争点等を理解しやすくするため、結論に影響がない範囲で事案の一部を簡略化して記載している場合があります。